上野めぐりPART1(若沖展・カラヴァッジョ展) [たえの日記]
先日、5月11日、東京上野に行ってきました。
一番の目的は、東京美術館で開催されている若沖展。
混雑は覚悟の上、最低一時間は待つ覚悟で行ったもの、予想以上の人。
開園15分前に着いたもの、もうすでにものすごい行列。
最後尾は美術館を取り囲み、反対を見れば黒田清輝記念館。
けれどこの日は、少し涼しく、さわやかな風も吹いていたので、少しは救われましたが、
開園前少しずつ進んでいた列は徐々に進まず・・・・
並んで・・並んで・・
結局館内に入れたのはAM10時半。そこからさらに30分ほど並び、
やっとの思いで作品を見出す事が出来たのはAM11時。結果、1時間45分待ちでした。
美術には割と関心があり、何度か美術鑑賞はしているものの、若沖作品に触れるのは初めて。
そして、かなりの時間を待ったこともあり、作品をじっくり見て帰りたい、という思いで、
520円を支払い、初イヤホンガイドを聞きながら、若沖鑑賞をしました。
まず、B階で展示されていたのは「鹿苑寺大書院障壁画」「旭日鳳凰図」「孔雀鳳凰図」
ほかの作品の展示。
孔雀鳳凰図 旭日鳳凰図
中でも孔雀鳳凰図は83年ぶりに発見され、動植綵絵と同じ絵柄で描かれている作品だそうです。
とても色鮮やかで、羽根の描き方がとても繊細。思わず見入ってしまいました。
1階では「動植綵絵全30幅」「釈迦三尊像3幅」の作品の展示。
釈迦三尊像を囲むようにの両側に15幅ずつが展示されていました。
鶏、孔雀、魚、植物などが描かれていましたが、花びらの一枚一枚、羽根の一本一本にまで
神経が研ぎ澄まされているようで、今にも動植物たちが動き出しそうなほどの絵に、
感銘を受けました。
動植棌絵の中でも、私が一番魅了されたのは、「雪中鴛鴦図」(せっちゅうえんおうず)です。
オシドリはもちろん、背景の木に積もった微妙な雪の描き方がとても幻想的でした。
雪中鴛鴦図
ちなみに動植綵絵には、裏彩色(絵絹の裏側からも彩色する)
という技法が使われている為、
見事な絵画の中にも、色をぼかし、柔らかい感じをも出せるようです。
そして最終階、2階では
「象と鯨図屏風」「仙人掌群鶏図襖絵」(さぼてんぐんけいずふすまえ)ほかの作品の展示。
仙人掌群鶏図襖絵は、金箔の背景に鶏とさぼてんが描かれたもの。鶏がとても勇敢に見えました。
仙人掌群鶏図襖絵(一部)
今回の展覧会では、若沖作品、80点程が飾られているようですが、どれも見ごたえがあります。
約10mの画面に154種類の野菜と虫が描かれた「菜蟲譜」(さいちゅうふ)、また、
拓版画(たくはんが)で描かれた「乗興舟」(じょうきょうしゅう)など、
ユーモラスな作品などもあります。
さらに若沖はいろいろな描き方や技法を作品に取り入れ、創意工夫して作品を仕上げたようです。
ー以下、若沖が取り入れた描き方や技法ー
「虻に双鶏図」・・・筋目描き(すじめがき)
画箋紙という吸水性の強い紙の上に、水気を含んだ淡墨を隣同士に置いていく。すると墨の面と面が交じることなくにじんで境界に白い線ができる。その特性を利用したりコントロールして描く技法
「鳥獣花木図屏風」(ちょうじゅうかぼくずびょうぶ)・・・桝目描き(ますめがき)
モザイクのような四角いマス目を色で埋めていく技法
「紫陽花双鶏図」(あじさいそうけいず)・・・没骨法(もっこつほう)
輪郭を描かず、初めから画面に形と色を同時に表わす技法
「花鳥版画」(かちょうはんが)・・・合羽刷り(かっぱずり)
渋紙や桐油紙(とうゆがみ)など、強い耐水性の紙に図様を書き、これを切り抜いて版とし、
和紙などの上にのせて、上から刷毛(はけ)で、絵の具を塗って図様をすり出す技法
これらのいろいろな技法を取り入れながら、また絵の具などにもこだわり、
決して妥協を許さず、若沖は完璧なまでの作品を仕上げたのですね。
音声ガイドでの解説を聞いてみて、さらなる若沖の作品の奥深さを知り、
また魅力を存分に知る貴重な美術鑑賞となりました。
鳥獣花木図屏風のデジタルアート
そして、次なる美術鑑賞はカラヴァッジョ展。
殺人を犯し、逃亡を余儀なくされながらも西洋史上もっとも偉大な芸術家として注目されていた一人であるという事から、残虐性を感じながらも、作品をとても見てみたいという想いがあり、
こちらは並ばず入れた為、鑑賞してみる事に・・(30分以上並ぶようだったら断念していたかも。)
いつものごとくまずは見てみたくなる銅像
カレーの市民
考える人
そして、作品。
世界初公開となる法税のマグダラノマリア トカゲに噛まれるまれる少年
タイトルさながら、不可解な多くの作品ではありましたが、
衝撃的な作品の多くには食い入ってしまうものがありました。
カラヴァッジョ展では、「風俗」「五巻」「光」「斬首」などのテーマごとに作品を展示、
自身の傑作に加え、彼の画法に影響を受けた継承者たちの作品を合わせた51点が展示されています。
2人の画家の作品を見終わってみて・・
これは比べものにはならないと思うのですが、私は個人的には伊藤若沖の作品が好きです。
あえて比べていうならば、若沖は”明”カラヴァッジョは“暗”といったところでしょうか?
とても対照的な作品でした。
それでも、二人の画家が、世界の様々な人を魅了させたことに間違いはないですね。
若沖展5月24日(火)まで
東京都美術館にて
カラヴァッジョ展6月12日(日)まで
国立西洋美術館にて開催中
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一番の目的は、東京美術館で開催されている若沖展。
混雑は覚悟の上、最低一時間は待つ覚悟で行ったもの、予想以上の人。
開園15分前に着いたもの、もうすでにものすごい行列。
最後尾は美術館を取り囲み、反対を見れば黒田清輝記念館。
けれどこの日は、少し涼しく、さわやかな風も吹いていたので、少しは救われましたが、
開園前少しずつ進んでいた列は徐々に進まず・・・・
並んで・・並んで・・
結局館内に入れたのはAM10時半。そこからさらに30分ほど並び、
やっとの思いで作品を見出す事が出来たのはAM11時。結果、1時間45分待ちでした。
美術には割と関心があり、何度か美術鑑賞はしているものの、若沖作品に触れるのは初めて。
そして、かなりの時間を待ったこともあり、作品をじっくり見て帰りたい、という思いで、
520円を支払い、初イヤホンガイドを聞きながら、若沖鑑賞をしました。
まず、B階で展示されていたのは「鹿苑寺大書院障壁画」「旭日鳳凰図」「孔雀鳳凰図」
ほかの作品の展示。
孔雀鳳凰図 旭日鳳凰図
中でも孔雀鳳凰図は83年ぶりに発見され、動植綵絵と同じ絵柄で描かれている作品だそうです。
とても色鮮やかで、羽根の描き方がとても繊細。思わず見入ってしまいました。
1階では「動植綵絵全30幅」「釈迦三尊像3幅」の作品の展示。
釈迦三尊像を囲むようにの両側に15幅ずつが展示されていました。
鶏、孔雀、魚、植物などが描かれていましたが、花びらの一枚一枚、羽根の一本一本にまで
神経が研ぎ澄まされているようで、今にも動植物たちが動き出しそうなほどの絵に、
感銘を受けました。
動植棌絵の中でも、私が一番魅了されたのは、「雪中鴛鴦図」(せっちゅうえんおうず)です。
オシドリはもちろん、背景の木に積もった微妙な雪の描き方がとても幻想的でした。
雪中鴛鴦図
ちなみに動植綵絵には、裏彩色(絵絹の裏側からも彩色する)
という技法が使われている為、
見事な絵画の中にも、色をぼかし、柔らかい感じをも出せるようです。
そして最終階、2階では
「象と鯨図屏風」「仙人掌群鶏図襖絵」(さぼてんぐんけいずふすまえ)ほかの作品の展示。
仙人掌群鶏図襖絵は、金箔の背景に鶏とさぼてんが描かれたもの。鶏がとても勇敢に見えました。
仙人掌群鶏図襖絵(一部)
今回の展覧会では、若沖作品、80点程が飾られているようですが、どれも見ごたえがあります。
約10mの画面に154種類の野菜と虫が描かれた「菜蟲譜」(さいちゅうふ)、また、
拓版画(たくはんが)で描かれた「乗興舟」(じょうきょうしゅう)など、
ユーモラスな作品などもあります。
さらに若沖はいろいろな描き方や技法を作品に取り入れ、創意工夫して作品を仕上げたようです。
ー以下、若沖が取り入れた描き方や技法ー
「虻に双鶏図」・・・筋目描き(すじめがき)
画箋紙という吸水性の強い紙の上に、水気を含んだ淡墨を隣同士に置いていく。すると墨の面と面が交じることなくにじんで境界に白い線ができる。その特性を利用したりコントロールして描く技法
「鳥獣花木図屏風」(ちょうじゅうかぼくずびょうぶ)・・・桝目描き(ますめがき)
モザイクのような四角いマス目を色で埋めていく技法
「紫陽花双鶏図」(あじさいそうけいず)・・・没骨法(もっこつほう)
輪郭を描かず、初めから画面に形と色を同時に表わす技法
「花鳥版画」(かちょうはんが)・・・合羽刷り(かっぱずり)
渋紙や桐油紙(とうゆがみ)など、強い耐水性の紙に図様を書き、これを切り抜いて版とし、
和紙などの上にのせて、上から刷毛(はけ)で、絵の具を塗って図様をすり出す技法
これらのいろいろな技法を取り入れながら、また絵の具などにもこだわり、
決して妥協を許さず、若沖は完璧なまでの作品を仕上げたのですね。
音声ガイドでの解説を聞いてみて、さらなる若沖の作品の奥深さを知り、
また魅力を存分に知る貴重な美術鑑賞となりました。
鳥獣花木図屏風のデジタルアート
そして、次なる美術鑑賞はカラヴァッジョ展。
殺人を犯し、逃亡を余儀なくされながらも西洋史上もっとも偉大な芸術家として注目されていた一人であるという事から、残虐性を感じながらも、作品をとても見てみたいという想いがあり、
こちらは並ばず入れた為、鑑賞してみる事に・・(30分以上並ぶようだったら断念していたかも。)
いつものごとくまずは見てみたくなる銅像
カレーの市民
考える人
そして、作品。
世界初公開となる法税のマグダラノマリア トカゲに噛まれるまれる少年
タイトルさながら、不可解な多くの作品ではありましたが、
衝撃的な作品の多くには食い入ってしまうものがありました。
カラヴァッジョ展では、「風俗」「五巻」「光」「斬首」などのテーマごとに作品を展示、
自身の傑作に加え、彼の画法に影響を受けた継承者たちの作品を合わせた51点が展示されています。
2人の画家の作品を見終わってみて・・
これは比べものにはならないと思うのですが、私は個人的には伊藤若沖の作品が好きです。
あえて比べていうならば、若沖は”明”カラヴァッジョは“暗”といったところでしょうか?
とても対照的な作品でした。
それでも、二人の画家が、世界の様々な人を魅了させたことに間違いはないですね。
若沖展5月24日(火)まで
東京都美術館にて
カラヴァッジョ展6月12日(日)まで
国立西洋美術館にて開催中
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こんばんは
若冲展に行かれたんですね
混雑が凄いので僕はTVの特集を見ただけで
パスです(笑) あの繊細な絵は人間業とは
思えません。じつは宇宙人だったりなんて
勝手に想像してます(笑)
by kazu-kun2626 (2016-05-16 21:21)
こんにちは。いつもありがとうございます。
若冲展!いいですね!私も観たいです。
先にコメントされてる方同様、人間業と思えませんよね。
娘の幼児期に絵画のフラッシュカードを見せてたんですが、またその取り組みを再開しようかと思いました(^^)
by みかん (2016-05-17 11:20)
kazu-kun2626さん
予想以上の混雑でした。
TV放映の影響はすごいものですね。
そういわれてみると・・宇宙人が
書いたような気がしないでもないですね(笑)
by taekozue (2016-05-17 17:07)
みかんさん
若沖展、良いです。
長時間待っても見て良かったと思える作品です^^
幼児期のそのような取り組みは、
きっとお子さんにとって良い刺激になるでしょうね♪
by taekozue (2016-05-17 17:13)
待ち時間がMAX320分だったとか、先ほどニュースで観ました。
私も行ってみたいけど・・・・^^;
by まゆみっふぃ (2016-05-18 19:00)
上野は芸術的な街なんですね。
世界遺産になるかもしれない、美術館もでしょう〜
若沖展、評判良いですね。
見てみたいです!^^
by hatumi30331 (2016-05-18 19:30)
まゆみっふぃさん
18日は、シルバーデーで65歳以上の人は
無料だったようで、また特別に混んだのではないでしょうか?
それにしても、320分とは・・仰天の待ち時間ですね。
by taekozue (2016-05-19 08:39)
hatumi30331さん
上野は美術館や博物館が点在してるので、
一日楽しめますよ。
今年は若沖生誕300年だそうで、
これから数か月、主にゆかりの京都や、
各地で展覧会やイベントが催されるようですよ。
by taekozue (2016-05-19 08:48)
今日、これから若冲展に行ってきます
行列に挫折しないでいられるか
それが問題だ・・・・
by さる1号 (2016-05-20 06:14)
さる1号さん
今日はどのくらい待つのでしょう?
挫折せずに待っていられると良いですね。
by taekozue (2016-05-20 07:54)